名探偵原秋子ちゃんシリーズ [Fabula]

『クローズド1』
「貴方が犯人です」
 原秋子ちゃんは、そう言って私を指差した。
 驚く私をよそに、原秋子ちゃんは無表情のまま続ける。
「単純なことです。
 この館に泊まっていた人は全部で十人。殺された人は八人。
 つまり、いま館に残っているのは、貴方と私の二人だけ。
 私が犯人でないことは、私自身が知っていますので、
 犯人は貴方しかいないということになります」
 私は、隠し持っていた特殊警棒で、原秋子ちゃんの頭を殴った。


『クローズド2』
「貴女が犯人です」
 そう言って、私は原萩子ちゃんを指差した。
「単純なことです。
 この館に泊まっていた人は全部で三人。殺された人は一人。
 つまり、いま館に残っているのは、貴方と私の二人だけ。
 私が犯人でないことは、私自身が知っていますので、
 犯人は貴方しかいないということになります」
 原萩子ちゃんは読んでいる文庫本から目を離さずに言った。
「自殺じゃないの?」


『クローズド3』
「貴女が犯人です」
 そう言って、私は原萩子ちゃんを指差した。
「単純なことです。
 この館に泊まっていた人は全部で十人。殺された人は八人。
 つまり、いま館に残っているのは、貴方と私の二人だけ。
 私が犯人でないことは、私自身が知っていますので、
 犯人は貴方しかいないということになります」
 原萩子ちゃんは読んでいる文庫本を閉じた。
「じゃあいま貴女の後ろにいるのは誰なの?」


『クローズド4』
 原秋子ちゃんは言った。
「貴女が犯人です」
 しかし、その言葉を聞いた人は誰もいなかった。


『クローズド5』
「今回はどんな事件なの?」
 私が尋ねると、原秋子ちゃんは、相変わらずの無表情で言った。
「密室殺人です。しかもただの密室殺人ではありません。完璧な密室なのです。
 壁は1メートルもの厚さのコンクリート製で、窓はありません。
 扉は海外の金庫メーカに特注して作らせた鋼鉄製のもので、
 三種類の鍵によって施錠され、ピッキングなどで開けることはほぼ不可能です。
 そして、その鍵はすべて密室内にあったのです」
「ちょっと待って」私は言った。「まさか死因は窒息死じゃないでしょうね」
「そうです」原秋子ちゃんは、やはり無表情で言った。
「バカみたい」
「いえ、謎はそこではないのです。この事件の謎は、
 どうやって被害者をこの部屋に入れたのか、です」
「ああ、それならちゃんとミステリィね」
「あと、なぜこんな部屋があるのか?も謎といえば謎です」
「そもそもどうやって死体を見つけたの?」
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百物語パート12(実話) [Fabula]

触ると絶対に霊が現れるという桜の木の話を聞きました。
岩手では有名な木だということですが、
木自体は、今はもう切られてしまい、建材やら何やらにされてしまったそうです。
しかし、建材にされてもなお、木自体に宿っていた怨念のようなものは健在で(小粋なジョーク)、
建材として建物に組み込まれた木でも、触れるとちゃんと霊が現れるとか、現れないとか……。

という話を、焼き鳥屋さんでとんでもなく酔っ払ってるときに、
壁を挟んだ後ろの席の知らない人たちが話しているのを聞きました。
居酒屋の喧騒のなか、怪談のような話をぼそぼそと話している変な人たちでした。

ちなみに、その日の就寝時、私は金縛りに遭いました。幽霊らしきものもでました。
耳元に人の気配がした後、「フッ」という笑い声が聞こえて、ちょっぴり怖かったです。
そして病気にもなりました。

お酒は怖い。本当にそう思いました。



脚色しないと実際の心霊体験なんてこんなものです。

よく幽霊のせいで疲れるとかなんとか……そういう話を聞きますが、
それはおそらく因果が逆転しています。
とんでもなく疲れていたりするから、
金縛りなどに遭い、霊に憑かれているという妄想に取り憑かれるんです。

そもそも霊に憑かれているなんてことを言い出す人間のほとんどは、
何かしら負い目があるものなんです。
人を傷つけていたり、入ってはいけないところに入ったり……碌な事をしていません。

清く正しく、健康に生きましょう。これで霊なんて怖くありません。
オチとかはありません。だって真面目な話です。だって真面目な話ですから。

百物語パート11 [Fabula]

3人で写真を撮った時、
真ん中の人は早死にするという迷信があります。たぶん、あります。

この迷信は、真ん中には年長者が配されることが多いので、
必然的に両サイドの人より真ん中の人が早く亡くなってしまう、という話や、
古いカメラは真ん中の人がきれいに写ることが多かったので、
その分、魂が持っていかれてしまう、という噂から生まれたみたいです。そうらしいです。

でも、きれいに写ったら分、魂が持っていかれてしまう、という話が本当だった場合、
手足が消えて写ってしまった失敗写真は、どういう扱いになるんでしょうか?
消えた分、持っていかれずに済むんでしょうか?

……ところで最近の話です。
私は友達二人と一緒に写真を撮りました。
みんな同い年でしたが、私を真ん中に写真を撮りました。
不幸を一身に背負うための生贄ということではありません。
人気だから真ん中なんです。二人とも私にくっつきたかったんです。

撮影には友達のデジタルカメラを使いました。
三脚は無かったので、カメラを階段の中ほどに置いて、セルフタイマーで撮りました。

それで撮れた写真なんですが……
写真には私一人しか写っていませんでした。
これはいったいどう判断したらいいんでしょうか?



と、数秒思い悩みましたが、
写真はすぐに消しましたので、不幸も何もかも全部無かったことになりました。
助かりました。

百物語パート10.0(シティ派ガール) [Fabula]

今から3年前、まだ私が小学生の頃の話です。
私はシティ派ガールらしく、通うのは当然私立小学校、
学校が終わった後も制服のまま塾通い、
家に帰れるのは毎日9時頃という大変な毎日をを過ごしていました。
そんな日々の中、唯一の癒しがペットの黒猫でした。

それはさておき、
ある冬の日、私がいつものように塾から家路についている時、
何の気無しに振り返ってみたところ、
後ろの方に同じくらいの背丈の女の子が歩いてくるの見つけました。
足を止め、その女の子をよく見てみたところ、彼女は私と同じ制服を着ていました。
塾の誰かが追いかけて来たのでしょうか? もしかして私と友達になりたい誰かでしょうか?



◆読まなくてもいい部分 始
近くに住んでいる人と友人になることを目指すのが私立の常識とはいえ、
どうしても友達になりたい魅力ある好人物(つまり私です)というのはいるものです。

しかし、いくらなんでもこんな時間に友達になりたがらなくても……。

近所に同じ小学校の人は私の知る限りではいませんでした。
あの女の子の家はきっと遠いはずです。
今から友達になって、私の家に寄ったりなんかしたら、
帰るのはきっと12時近くなってしまうことでしょう。

そこまで考えたとき、天啓のように閃きました。
お泊り会です。
歯磨きもパジャマも無いでしょうが、そんなものはコンビニなどでいくらでも買える時代です。
都会というのはそういうところなんです。さもありなん。
◆読まなくてもいい部分 終



などと私が浮かれたことを考えていましたら、
後ろを歩いていた女の子の顔が街灯に照らされてハッキリと見えました。
私でした。

……私は何やらゾッとしたものを感じ、くるりと踵を返して歩き始めました。
いったいどうしたことでしょうか? 後ろを歩く女の子の顔、あれは私でした。
他人の空似でしょうか? 距離も遠かったですし見間違いということもありえます。

振り返って確認してみようかとも思いましたが、
確認した結果、やはり私だったら
もうどうしたらいいか分からなくなってしまいそうなので止めました。
きっと気のせいです。他人の空似です。
そうあることを願いながら私は帰路を急ぎました。

とはいえ、あまり足を早めると後ろの女の子に怪しまれてしまうかもしれません。
なるべく普段の歩行ペースで、転ばないように、沈着冷静に……。


気持ち的には付かず離れずで女の子の前を歩き続けます。

周りは住宅街。家々の窓から温かな光が漏れてきています。
しかし、その光に安らぎを感じることはありません。
仮に私がここで襲われても誰も助けてはくれません。

住宅街を抜けると公園沿いの道です。
ここは少しだけ薄暗く、木々の合間に何かいそうで怖いです。
しかし今はそんな想像上の存在より、物理的な恐怖が後ろにいます。
ヒタヒタと足音が聞こえるようになりました。少しずつ近付いてきているようです。

そして、私の家にも近付いてきています。
これはもう杞憂ではないでしょう。この女の子は私をつけていました。

いっそ振り向いたらどうでしょうか?
私はそんなことばかりを考えていました。
後ろの女の子が私だというのはきっと気のせいです。
他人の空似なんです。似てることをきっかけに友達にもなれそうです。

振り向いて、女の子と目が合ったら、
私は一瞬びっくりしたような表情をした後、私は微微笑みながらこう言います。
「びっくりしました。鏡かと思いました。私たちそっくりですね。友達になりましょう」と。
他人の空似さんもきっと友達になってくれます。

……しかし本当に私だったら?
それはドッペルゲンガーというものではないでしょうか?
特命リサーチ200Xで見たのですが、
ドッペルゲンガーを見た人には亡くなった人もいるそうです。
脳の異常という説明もありましたが、
そんな幻覚を見るようでは遅かれ早かれ死んでしまう気がします。


結局、振り返ることは出来ませんでした。
もう自宅のマンションに到着です。女の子はまだ私の後ろを歩いています。
私の知る限り、同じ小学校に通っている人は、このマンションにはいないはずです。
違う学年の人でさえ。

もしマンション内にまで女の子がついてきたら、それは一体どういうことでしょう?
彼女が他人の空似だとしても、私のマンションまでついてくる理由の説明には……
そこまで考えたとき、天啓のように閃きました。
お泊り会です。
きっと友達の家に泊まるんでしょう。そうに決まっています。
そう考えたらホッとして少しだけ涙が出ました。

私はマンションの少し重い扉を押し開け、ゆっくりとエントランスを抜け、
廊下を歩き、エレベーターホールに着くと、そっと呼び出しボタンを押しました。
6階から5階、4階と、回数表示ランプが変化していきます。
それをぼうっと眺めていると、背後からゆっくりと足音が近付いてきました。

私はエレベーターの回数表示ランプを見続けることしか出来ませんでした。





オチろ! オチたな・・・(確信)

百物語パート10(シティ派ガール) [Fabula]

今から3年前、まだ私が小学生の頃の話です。
私はシティ派ガールらしく、通うのは当然私立小学校、
学校が終わった後も制服のまま塾通い、
家に帰れるのは毎日9時頃という大変な毎日をを過ごしていました。
そんな日々の中、唯一の癒しがペットの黒猫でした。ですが……

それはさておき、
ある冬の日、私がいつものように塾から家路についていると、
前の方に私と同じ制服を着た、同じくらいの背丈の女の子が歩いているの見つけました。



◆回りくどい解説 始
私の通っている塾には同じ私立の小学校に通う人が何人かいます。
でも家が同じ方向の人はいなかったはずです。
同じだったら一緒に帰っています。途中まででも帰っています。
みんな友人ですから当然です。
つまり前方の女の子は塾生ではありえません。

では、この女の子は一体どこから現れたのでしょうか?

通りすがりの小学生でしょうか?
しかしこの女の子は私と同じ制服を着ています。
私立の小学生というのは公立と違い、近所に友人を作ることが難しいんです。
なので近くに住んでいる人がいたら、友人になることを目指すのが私立の常識なんです。
故に前方の女の子が近所、もしくは同じ地域に住んでいるなら私を放っておかないはずです。

でも私は放っておかれています。
つまり前方の女の子は近所の人ではありえません。
違う学年の人という可能性もありますが……
◆回りくどい解説 終



その存在に少し妙なものを感じましたが、なんてことないです。
怪しい風体の成人男性だったりしたら怖いですが、相手は同じ小学生です。
なんてことないです。
加えて、後ろからヒタヒタとつけられたりしたら怖いですが、相手は前方にいます。
なんてことないです。
むしろ暗い帰り道を、いつも一人で歩いていることを考えると心強いくらいです。
どこまで一緒に歩けるかは分かりませんが。


付かず離れずで女の子の後ろを歩き続けます。

周りは住宅街。家々の窓から温かな光が漏れてきています。
しかし、その光に安らぎを感じることはありません。
仮に私がここで襲われても誰も助けには来ませんから。
都会というのはそういうところなんです。あしからず。

住宅街を抜けると公園沿いの道です。
ここは少しだけ薄暗く、木々の合間に何かいそうで怖いので自然に早足になります。
前方の女の子との距離が少し縮まりました。
よく見ると女の子の髪型は私と同じでした。

なんだか妙です。
見れば見るほど前方の女の子は私と同じです。
髪型もそうですし、持っている鞄も、靴だって同じです。
そんなことがあるでしょうか?
そして彼女はどんどん私の家に近付いています。
こんな近くに同じ小学校の人がいるなんて知りません。


前に見える女の子の後ろ姿が怖いです。
今は同じペースで歩き続けていますが、
急に止まったらどうでしょうか? 振り向いたらどうでしょうか?
それが怖くてしょうがありませんでした。

私は逃げられませんでした。
もう夜で、近所に友人もいません。
そして前方を歩く女の子が向かっているのは私の家の方向です。
走って追い抜かすことも考えてみましたが、
そうすると今度は私が追われる側になります。
後ろ姿を見ているだけでこんなにも怖いのに、後ろから追われることを考えたくはありません。
私は息を出来る限り潜めて後をついていくしかありませんでした。
途中で女の子が私の帰り道から外れてくれることを信じて。


そろそろ自宅のマンションに到着です。女の子はまだ私の前を歩いています。
私の知る限り、同じ小学校に通っている人は、このマンションにはいないはずです。
……しかし女の子は私の家のあるマンションへ入っていきました。

どうしたものでしょうか? 私は足を止めて悩みました。
女の子は私の家に向かっている。そんな気がします。
女の子が私より先に家に到着したら何かが起こるのでしょうか?
このまま女の子を行かせていいものでしょうか?
しかし先に家に帰るには女の子より早くエレベーターに乗らなければいけません。
しかし今から急いだところで先に乗れるとは思えません。


そこで私は閃きました。
マンションにエレベーターは2台あります。しかし場所は東西に大きく離れています。
私の家は西側にあるのですが、いつもマンションの入り口に近い東側のものに乗っています。
女の子が私と同じならば東側のエレベーターに乗ることでしょう。
それならば、急いで西側エレベーターに乗れば、もしかすれば……。

私は走りました。
マンションの少し重い扉を押し開け、エントランスを走って廊下に抜けます。
エレベーターホールも走って抜けます。
チラリとエレベーターの方に目をやると、閉まっていくエレベーターの扉が見えました。
扉の隙間に知らない誰かと、俯いた女の子の姿が一瞬だけ見えました。
そして表示されていた行き先は5階と、私の家のある8階でした。



果たして私は女の子を追い抜かすことができたのでしょうか?
そして、その後の私を待っていた残酷な運命はあるのでしょうか?
続きはパート10.0で会いましょう。

百物語パート9(あんにゅい) [Fabula]

私は永遠の中学生で、無限のクールを持つビューティーガール。



開かずの間。
私が通っていた高校には開かずの間と呼ばれる部屋があった。
美術室の後ろに……教壇のある方を前とすると後ろ。そこに開かずの間の扉があった。

……開かずの間と言っても、実は廊下側からは普通に入れたんだけど。
美術室に通じる扉が、何故だか開かなくなってしまっただけの美術準備室。
授業でしか美術室に来ない生徒たちが勝手に開かずの間と呼んでいただけ。現実はそんなもの。
まあ、私も美術部の友人に教えてもらうまで、面白半分にそう呼んでいたんだけどね。

ちなみに廊下側の扉から中に入れてもらったことがあったんだけど、
いかにもな感じの石膏像や、いわく付きの絵が飾ってあることもなく、
金属製の棚がいくつも並び、その中に畳まれたちっちゃいイーゼルとか、
首からかけられる画板とかがしまってあるくらいの、
たいした物はない、つまらない部屋だった。ほんとガッカリね。
おわり



ご存知の通り、
私は性格がひねくれきって、ねじ切れている程、性格が悪いので、部活などには入っていなかった。
しかし、そんな私の数少ない友人は、さっき登場したと思うけど美術部に入っている。
友人と一緒に帰りたい私は、普段は友人の部活が終わるまで図書室で待っているんだけど、
その日は、珍しく友人と一緒に美術室に行ってみたの。

美術部には顧問はおろか部員の一人もいなかった。どうやら一番乗りみたい。
正直美術部はオワってるから、いつもこんな感じらしいけど。
じゃあ普段はいったい何を活動しているのよ? と思いつつ美術室内を見渡してみたら、
開かずの間の扉がほんの少し開いていたの。

しかし別段驚かない。だって中を覗いたことあるもの。
ようやく鍵を直したor見つけたのね、って思ったくらい。
でも何の気なしに友人に扉のことを聞いてみたら、友人はそんな話は知らないという。

こうなってくると少しだけ扉の中が気になってくる。だって少しだけオカルトな香りがしない?
私はクールビューティー暦13年ベテラン貴族。気になることは調べずにはいられない。
ええいっ、ままよ! と、扉を開け放ってみる。 ……からっぽ?

準備室の中身はからっぽだった。本当にからっぽ。
部屋の中にあった金属製の棚はなくなって、その後ろにあったらしい窓から陽が差し込んできていた。
そして、壁や床なんかも、えらく綺麗になっている。
……う~ん、リフォームかしら? と、とりあえず、ヘタに部屋に入ったりするのはマズそうね。
公的権力にとてつもなく弱い私は、勝手なことをして怒られるような真似はしない。
とりあえず、友人と一緒に職員室へ美術部の顧問を探しに行くことにした……のだけれど。

顧問はすでに帰っていた。
部室の戸締りはどうすんのよバカ! という話はさておき、というか金輪際どうでもいい。
とりあえず二人で美術室に戻ってみたんだけど、扉は何故か閉まっていた。
そして、その後どれだけ頑張っても、扉が再び開くことはなかった。
おわり



後日、準備室に入る機会があったんだけど(廊下側から)、
そこは以前見たのと変わらない、たいした物はない、つまらない部屋だった。
あのからっぽの部屋は幻? でも見たのが私一人ならともかく友人も一緒に見ていた。

友人……そう友人も見ていた。私と美術部の友人の二人で。
しかし、その美術部の友人が少しおかしなことを言い出した。
あのからっぽの部屋を一緒に見たのは、私と美術部の友人と、それともう一人の友人だと。

そのもう一人の友人は私のクラスメイト。
当然あの場にはいなかったはずだし、そもそも一緒に行動するほど仲良くもない。
よくわからないけど……まあ、そんなこともあるわね。

百物語パート8(大嘘) [Fabula]

はろー。
誰も待ち望んでいない百物語の時間。
今回のテーマは「初恋」。 ……当然、嘘。



細かな事情はさておき、ある夜、私は最終電車に乗っていた。
最終電車とはいえ金曜日の夜だったから、電車内には何人かのボンクラもいた。
同じ列の座席の端に一人座り、ドアの所に二人立ち、斜向かいの座席に一人、全員男。
あまり覚えていないけど、とりあえずこんな感じ。

何故、そんなことを曖昧とはいえ覚えているのか?
理由は簡単。他人を見ることくらいしか、やることがなかったから。
私はネットに繋ぐと大金を請求される携帯電話しか持っていないし、本や雑誌も持っていなかった。
だから、とりあえず周りをキョロキョロと見ていたのだけど……

そうしていると、私は斜向かい座って俯いている男が妙に気になった。
何がどう気になったのか? それは不思議と思い出せない。
見た目的にはごく普通のやさぐれボンクラサラリーマン。
しかし、私は何故だかそのサラリーマンをジロジロと何度も見てしまった。

私が何度も見たことで視線に気が付いてしまったのか、
そのボンクラサラリーマンが不意に顔を上げたので目が合ってしまった。
全然覚えていないけど、その目もボンクラサラリーマンらしい普通の目だった気がする。
まあ、相手が普通だろうと何だろうと、目が合ってしまい気まずかったので、私は寝たフリをした。

というより本気で寝た。眠かったから。

そんなマジ寝から、おそらく数十分後。
車内アナウンスが私の降りる駅名を告げている。
ハッ、と目覚めた私が顔を上げると、そこにさっきのサラリーマンがいて、
そして「さっき見てましたよね?」と、これもやはりボンクラサラリーマンらしい普通の声で訊ねてきた。

「み、見てなんかいないわよ!? バカじゃないの!」
と、私は叫んで走って逃げた。慶長5年9月の話である。





こんな記事よりもっとスピリチュアルでオカルトな記事が読みたい
by お名前(必須) (2015-03-17 07:05)

あんな記事でも苦労して書いてるんです!
ちなみにこんな記事とはこんな記事です。 ⇒ http://inunekomushi.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15

それにしても、スピリチュアルでオカルトな記事って言われても……
ごくごく普通のスーパークールビューティーでしかない私に一体何を書けと言うんですか?
まあ、この話はオチを除いてほぼ実話で、ほんとはちょっぴり怖かったのですが、
こんな体験は滅多にあることではないので、
とりあえずオカルト! と言われて、はい、これがオカルトです! と書けるようなものではありません。
あしからず。

百物語パート7(今更) [Fabula]

今回は短め。
私にまだ家族がいた頃のお風呂場での話。


私が深夜に一人でシャワーを浴びていると、
蓋が閉まった風呂桶の中からぴちゃんぴちゃんと水音が聞こえてきたの。
……別に何もおかしなことは無い。
だって3~4時間前に親がお風呂を沸かして入っていたんだもの。
湯気が蓋の裏にに水滴を作り、それが水面に落ちて音を立てている。ただそれだけのこと。

気にせずに身体を洗う。ぴちゃんぴちゃん
頭を洗う。ぴちゃんぴちゃん
お風呂から出る。耳を澄ます。ぴちゃんぴちゃん
よく考えると3~4時間も経っているのに、
こんなに長い間、水滴を作れるなんて凄い湯気よね?



……って、どんな湯気よ!?

百物語パート6(噛み噛み) [Fabula]

影踏み鬼という遊びを知っているかしら?
まあ、簡単に言うとタッチの代わりに、影を踏むことで鬼が替わる鬼ごっこね。
名称や細かいルールは地域によって違うかもしれないけど、誰でも一度は遊んだことがあるでしょ?
今回はこの遊びにまつわる話をさせてもらうわね。


私が小学生だったころにあった話なんだけど。
学校からの帰り道、友人の一人が影踏み鬼をしようと言い出したのね。
私は面倒だから嫌だったんだけど……とりあえず近くの公園でやることになったのよ。
そこは結構広い公園でね。遊具や謎オブジェ、丘みたいなのもあって、隠れられる場所も多かったの。
だから鬼ごっこというより、ほとんどかくれんぼといった感じになっていたわ。

しばらく影踏み鬼をやっていて、私に鬼が回って来たんだけど、
何故か、なかなか皆を見つけることが出来なかったのよ。
それで、気が付くと夕方になってしまっていたわ。
もしかしたら皆に置いていかれたのかしら? とも思って、私も帰ろうかと思ったのだけど、
皆がどこか、私が思いつかないような場所にまとまって隠れているだけかもしれないでしょ?
だから諦めずに、もう少し公園内を探し歩いてみたのよ。

探し歩いているうちに滑り台の近くに辿り着いたわ。
普通の滑り台じゃなくて、石を磨いたような大型のものね。
その滑り台の裏から、子供の影がこちらに向かって伸びていたの。

その影の持ち主の体は滑り台に隠れていて見えなかったけど、
私は早く鬼から解放されたいという気持ちもあって、とりあえず踏もうとしたのよ。
もし友人じゃなかったとしても、影を踏んだところで何の問題もないでしょ?
ヘタに姿を見ようとしたり、声をかけたりして、逃げられでもしたら面倒だからね。

足を上げて、いざ踏もうと思った瞬間、おかしなことに気が付いたの。
自分の影がその誰かの影に重なってるってことにね。
その誰かの影は、私の方向……つまり太陽に向かって伸びていたのよ。
そんなことってあるのかしら?
それに気づいた私は走ってその場から逃げたわ。
……小学生の時の話だからね。今だったらきっと影を踏みつけて、正体をとっちめているわね。

公園の入り口まで戻ると、友人たちが揃っていて、帰る準備をしていたわ。
どうやら消えたのは私の方だったみたいね。
こういうありきたりのことは言いたくないけど、やっぱり夕暮れ時というのは変なことが起きやすいのかしらね?

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(来週の更新は)無いです
来月からは大量更新する必要も無いのでリクエストはキャンセルだ。通常営業に戻ります

正月から毒を吐くのも何だから抑えてたけど、来月からは色々で、出ますよ・・・
今年の目標はブログの爆発炎上です(キレ気味)

百物語パート5(噛み噛み) [Fabula]

これは私がまだ子供のころの話なんだけど。

小学生くらいのころ、何故だかは忘れてしまったけど、普段より早く家に帰ることが出来たのね。
そうね……だいたい1時くらい、だったかしら?
まあ、いつもより早く家に帰れたからといって、特にやりたいことも無かったし、
とりあえず寝ようと思って、自分の部屋のドアを閉めて、ベッドに入ったのよ。

しばらくウトウトしていると、玄関の扉が開く音がしたわ。
……言い忘れていたけど、私の部屋は玄関の近くにあるのね。
だから私は母親が帰ってきたと思ってベッドから玄関に向かって「おかえりなさい」って言ったのよ。

でもよくよく考えてみると少し妙なのよ。
母親が帰ってくるのが早すぎる気がしたの。
パートで働いている母は、いつもは3時くらいに帰ってくる……でも今はまだ1時半くらい。
まあ、私と同じで何かの事情があって早く帰ってきたのかもしれない……。

そんな偶然があるかしら? でも、無いとも言えないわよね?
だから私はベッドから降りて、思い切って自分の部屋のドアを開けてみたのよ。
……今思い返すと、玄関の扉を開けたっきり、廊下を歩く音も、ましてや玄関の扉を閉める音すら聞こえない、
っていう異常事態の中、どうしてこんな大胆な行動を取れたか謎だわ。

ドアを開けて玄関の方を見ると扉は開いていなかった。
念のために家の中を見回してみたけど、母はもちろん、他の誰も家にはいなかったわ。

結局、母や親族の誰かが死んだとかそういう霊障も無く、
このことは寝ぼけた私の妄想ということで忘れ去られていったんだけど……。
実はこの話、まだ続きがあったのよね。

その事件から数週間後、母親が私に変なことを聞くのよ。
昨日の1時半ごろ家に居なかったか? ってね。何故かと問うと、母は答えたわ。

パートで体調が悪いから早退して家に帰ったら、
玄関のところで私の部屋から「おかえりなさい」って声が確かに聞こえたそうなのよ。
でもドアを開けてみてもそこには誰もいなかった……。

でも、それも体調が悪かったから聞こえた幻聴で妄想なのよ、きっと。ふふふ……。










オッハー!(ガンギマリ)
だからこのコーナーは人気無いって言ってんじゃねーかよ(棒読み)

あなたが体験した心霊体験っぽい話、または怖い夢(ファッ!?)を随時募集中
それを基にした怪談を作ったり作らなかったりします

あと普通のリクエストの募集は土曜日(25でーす)まで募集中
一緒に糞まみれになりたいやつ連絡くれよ。

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